この記事では、内定承諾の意思決定をするときの判断基準について解説します。

 

4月になると、既に内定を獲得している就活生も多いのではないかと思います。

リクルートの調査によると、24卒の3月時点での内定率は30.3%とのことでした。

 

一方で、内定後も就活を継続している割合は8割近くとなっており、内定後も就職活動を継続している就活生が多くみられます。

 

3月1日時点でのデータなので、第一志望の企業の選考がまだという方も多いと思いますが、志望している企業の選考をほぼ終えているにも関わらず、以下のように内定承諾の意思決定に迷っている学生も一定数いるのではないかと思います。

 
「もっと自分に合った会社があるような気がする」
「自分のやりたいことがわからなくなってきた」
「内定を複数もらうことができたが決め手に欠ける」
「どちらの会社も一長一短あり決められない」
このような悩みに対しては、まずは何に悩んでいるのか明確にすることが大切です。

具体的には、以下のように分解できます。

①企業の判断基準が明確になっていない
②判断基準の重要度が明確になっていない
③判断基準に沿った採点ができていない
④覚悟ができていない

①②に関しては、自己分析が不足している状態。③に関しては、企業調査が不足している状態となります。

 

 

内定承諾までに乗り越えるべき壁

それでは、内定承諾に至る過程におけるそれぞれの対策について見ていきましょう。

①企業の判断基準が明確になっていない

直感的・感覚的に良いか悪いかのみで判断をしてしまっているケースです。

このケースでは、自己分析を行うことにより、自分の提供したい価値(Will)・なりたい姿(Being)・大切にしたい価値観・得意なこと・不得意なことを言語化していきます。

その際に、原体験を元に、なぜそう思うのかという根拠を明確にしておくことが大切です。

自己分析については、以下の記事で詳細に解説しているので、ご覧ください。

自己分析①:自己分析の目的

②判断基準の重要度が明確になっていない

 

いわゆる就活の軸はあるものの、それぞれの重要度が明確になっていないケースです。

例えば、以下のような就活の軸をもっている方がいたとします。

・世の中に新しい価値を生み出す

・切磋琢磨できる仲間がいる

・挑戦できる機会が多く用意されている

 

「世の中に新しい価値を生み出す」という点においてはA社が良くて、「切磋琢磨できる仲間がいる」という点においてはB社が良くて、「挑戦できる機会が多く用意されている」という点においてはC社が良い、となった場合に重要度が明確になっていないと判断することができません。

 

例えば、全体を100としたときにそれぞれの判断基準の重要度を定義します。

・世の中に新しい価値を生み出す:20

・切磋琢磨できる仲間がいる:30

・挑戦できる機会が多く用意されている:50

 

それぞれの判断基準を元に採点することで、定量的な把握ができるようになります。

この時、設定した重要度の根拠についても説明できるようにしておきましょう。

 

例)

将来は、自分で事業を立ち上げられる人になっていきたい。

理由はインターンシップを通して、0から1を生み出す楽しさを知ったからである。

事業推進力を養うには、失敗しても挑戦できる機会の多い環境が必要だと考える。

挑戦する際に自分だけが熱量高くやるのではなく、お互い刺激しあえる仲間が必要。

結果として、世の中に新しい価値を生み出したいと思っているがファーストキャリアとしては必須の条件ではない。

③判断基準に沿った採点ができていない

判断基準も重要度も出せているが、採点するための企業の情報が不足しているケースです。

企業の情報を社員面談やOB訪問、採用サイトを利用して収集するようにしましょう。

この時、自分の判断基準に沿って判断するために必要な情報を集める必要があります。

例えば、先ほどの就活軸を例に考えると、以下のような確認事項が考えられます。

・世の中に新しい価値を生み出す

最近、取り組んでいる新規事業にはどのようなものがあるか?それはなぜやっているのか?

新しいプロジェクトが発足したときに、どんなスピード感で進んでいくのか?

・切磋琢磨できる仲間がいる

入社1~3年目の先輩はどのような人たちか?

一緒に入社する同期にはどのような人がいるか?

会社の規模は何名で、同時期に入社する人は何名いるのか?

・挑戦できる機会が多く用意されている

入社後1年間でどのような業務を主に担当するのか?

担当する案件数は一人当たり平均何社くらいか?

このときに注意が必要なことが2点あります。

・1人の意見を鵜呑みにしすぎないこと

採用活動においては、企業側は優秀な学生を採用するために、優秀なエース級の社員を面談に出したり、事実とはやや異なる情報を伝えているケースがあります。

可能な限り、複数の方(少なくとも3人以上)にOB訪問をするようにしましょう。OB訪問アプリのMatcherなどを用いて、過去に在籍していた方に話を聞くのも良いでしょう。

・ネットの情報を信じすぎないこと

昨今では、SNSやインターネット上に様々な情報が溢れかえっています。特に匿名で投稿されている内容について、安易に信じこむのは危険です。

実際に働いている人へのOB訪問や、就活エージェントなどを利用して情報を集めるのが良いでしょう。

④覚悟ができていない

判断基準と重要度を元に採点は行ったが、最終決断ができないというケースです。

この場合は、自分自身が意思決定できない理由を明確にすることが大切です。

判断基準は網羅されているか?重要度の比率は合っているか?採点はこれでよいか?

改めて、どこに課題があるのかを特定しましょう。

 

どこにも課題が見つからない場合に必要なのは「覚悟」だけです。

実際に働いてみて初めて分かることも多くあります。

(もちろん正社員としての働き方と、インターンとしての働き方は異なるケースも多々あります)

 

就職活動において、100%正解の選択肢は存在しません。

100%の正解がない中で、自分が選んだ道を正解にするというマインドが大切です。

それでも迷っているのであれば、あなたがその会社に入社して1年経った時のことを想像してみましょう。

 

自分たちの次の世代の就活生から「なぜ今の会社に入社することを決めたのですか?」と聞かれたら、あなたは何と答えるでしょうか?

この質問に自信をもって答えられる選択肢を、ぜひ選んでいただきたいと思います。 

まとめ
就活生が内定承諾の意思決定をするときの判断基準

この記事では、就活生が内定承諾の意思決定をするときの判断基準について解説をしてきました。

就活生が内定承諾の意思決定に至らない要因としては、面接のオンライン化が一般的になり多くの企業と会う機会が増えていること、SNSなどの情報が溢れかえっていることなどが考えられます。

 

しかし、シンプルに要素分解すると以下のようになります。

 

①企業の判断基準が明確になっていない

②判断基準の重要度が明確になっていない

③判断基準に沿った採点ができていない

④覚悟ができていない

 

自己分析が不足していることによって①の段階でつまづいているにも関わらず、②③を行おうとすると、どうしても違和感が残ってしまいます。

まずは徹底的に自分自身と向き合うこと、そして自分の軸に照らし合わせて企業の情報を収集することが重要です。

 

納得のできる意思決定をして就活を終えるために、自分自身の課題を明確にしましょう。

 

STORY CAREERでは、今までの経験や育ってきた環境を詳細に分析していくことで、自らのSTORY(人生)に基づいて仕事を選択するための判断基準を精緻に言語化し、本当の意味で学生と企業がWin-Winにマッチングするキャリア支援サービスを提供しています。

 

「内定承諾の意思決定ができずに困っている」

「判断基準がわからなくなって困っている」

 

など少しでもお悩みの方は、下記のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください!

文責:橋本大佑

北海道大学大学院農学院修了。新卒で入社したITベンチャー企業で人事を務め、2社目ではデータサイエンスの教育事業のマネージャーを担当。現在は、STORY CAREERにてキャリアアドバイザーとして累計500人以上の就活生のキャリア支援を行っている。
シェアする