前回の記事では、「人事がどういった点を見ているのか」「それを踏まえた上で、ガクチカを通して伝えるべきことは何か」ということを確認しました。
そのことを踏まえ、今回は「ガクチカの整理方法」について確認し、自身のガクチカを整理していきましょう。
1:前回の復習
まずは、簡単に前回のおさらいをしておきましょう。
転職者(中途採用)と異なり、大学生は「職務知識」「業界知識」「ビジネス一般常識」がないことから、人事は「成長エビデンス」「原動力とその強度」「3つの成長の仕方」から皆さんの入社後の成長・活躍を判断している、という内容でした。
また、「突破浮上エビデンス(原動力を発揮した成果を出したエピソード)」から、Will・Being・価値観の強度を確認する。
それぞれの能力を確認し、その人の成長の仕方を把握する。
※どこの企業も見ている「協働性」「素直さ」といった点は2番目と3番目に含まれる。
そして、それぞれの項目を判断するために見ているポイントは以下の通りです。
図で表すと以下のようになります。
このことから、
2:活動を始めた時の動機と継続している動機から「原動力」を伝えるべき。
3:変化を生み出した行動・思考から自身の「成長の仕方」を伝えるべき。
と言えます。
つまり、「 成長物語を通じて”原動力”と”成長の仕方”を伝える必要がある 」ということです。
前回の内容を復習できた所で、ここから具体的な整理方法について見ていきましょう。
2:どんなエピソードをガクチカにすべきか
まずは、ガクチカとして話すエピソードを決めていきましょう。
この際、よく「個人で頑張ったことよりもチームで頑張ったことの方が良い」「アルバイトよりも長期インターン(のような凄そうなエピソード)の方が良い」といった、小手先のノウハウを用いてしまう方がいます。
一見、もっともらしい話に思えますが、本質的には全く重要ではありません。
というのも、私たちが果たすべき目的は「自分に合った企業から内定をもらう」ということだからです。
そこから考えると、 ガクチカは「自分が最も頑張ったエピソード」つまり「自分の軸となる原動力(Will・Being・価値観)やCanが発揮されたエピソード」を話すべき と言えます。
具体的には、自己分析を通して抽出した『(自分の最も重要度の高い軸の)突破浮上エビデンス』がガクチカになると言えます。
チームよりも個人で頑張ることの方が自身のCanや原動力が発揮されるのであれば、個人で頑張ったエピソードをガクチカとして話すべきです。
個人で頑張った話であったとしても、ほぼ全ての企業で求められる「協働性」「素直さ」は、成長の2番目(他者の真似をする)と3番目(他者からフィードバックをもらう)を話すことで伝えることが出来ます。
もちろん、「凄そうなエピソードの方が良い」ということは一切ありません。
復習の所で確認した通り、 「何をしたか」ではなく、「どのような変化を生み出したのか」「そこで発揮した原動力やCan、成長の仕方はどういったものなのか」が大切 なのです。
では、それらを伝えるために、頑張ったことをどのように整理していくのかを見ていきましょう。
3:整理すべきポイント
結論からお伝えすると、整理すべきポイントは以下の5点です。
・環境選択の理由
・変化感(BeforeとAfter)
・課題解決のフロー ※発揮したCan
・継続して頑張れた理由
この5点を整理すべき理由は、先程復習した「人事が見ているポイント」にあります。
それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
■環境のレベル
図で確認すると、以下の部分に当たります。
環境のレベルを他者に適切に伝えるために、以下2点について整理をしていきましょう。
部活やサークルであれば大会等での成績、アルバイトや長期インターンであれば顧客の満足度や売上などです。
定量と定性の両方で表現するのが望ましいです。
具体的には「どういう人がいる組織なのか(選考があるのであればその基準)」「活動時間・業務量はどの程度なのか」「どういったことを大切にしているのか(風土・文化)」「OBOGの主な就職先・進学先はどこか」などです。
ここを上手く伝えることで、自然と頑張ったことを面接官が評価をしてくれるようになります。
どういうことかというと、
「部員が100名いる甲子園出場をした野球部で、レギュラーを勝ち取ったことです。」
「高校の野球部でレギュラーを勝ち取ったことです。」
だと、前者の方が、それだけで努力の熱量値(どのくらい頑張っていたか)をちゃんと評価してくれるようになりますよね?
環境レベルを適切に伝えると、後にも出てきますが、面接で伝えるべき重要な要素である「熱量」の高さを伝えることが出来ます。
■環境選択の理由
図で確認すると、以下の部分に当たります。
ここで改めて大切なことを確認しておきましょう。
それは「 面接官は、環境選択の理由から就活生の軸を確認している 」ということです。
軸となる原動力(Will・Being・価値観)が活動を始める動機となっていたことを自覚しておき、それを面接で話すことで原動力(Will・Being・価値観)が確かなものであることを伝えられるようにしておきましょう。
中には、活動をしていく中で新しいWill・Being・価値観が形成され、それが就活の軸となっている方もいるかと思います。
例えば、「最初は”お金”や”成長”を動機として始めたアルバイトだったが、お客さんと接していく中でWill(他者への価値提供の意欲)が芽生えた」といったケースです。
そのような場合は、事実を偽らないようにしましょう。
ただし、面接で伝える際には「”最初は”、お金や成長といった動機で始めました」といったように、「最初はそうだけど、活動の中で動機は変わっていったよ」ということを示唆するような伝え方にしましょう。
■変化感(BeforeとAfter)
図で確認すると、以下の部分に当たります。
この部分は非常に重要ですので、丁寧に整理をしていきましょう。
まずは「BeforeとAfter、それぞれの時期がいつなのか」を整理し、BeforeとAfterそれぞれについて以下の4つの観点で整理をしていきましょう。
2:行動内容
3:熱量(かけていた時間)
4:成果
面接で話す際のイメージとしては、
〜〜という立場で(1)、ーーーということを行っていました(2)。月に●●●時間ほど活動をしており(3)、■■■という成果を出していました。
といった感じです。
特に、 3番目の『熱量』に関しては定量的に整理し、必ず面接で伝えるようにしましょう。
というのも、テーマ「自己分析」の1つ目の記事でもお伝えしたように、新卒で入社した際には「出来ない状態」からのスタートになりますので、仕事を覚えていく上で『熱量の高さ(量)』は必須になります。
学生さんの面接対策や候補者の方の面接をしていると、熱量を話すことが出来ていない人が非常に多かったりしますので、皆さんは必ず『熱量』の整理を行い、面接で伝えるようにしましょう。
■課題解決のフロー ※発揮したCan
図で確認すると、以下の部分に当たります。
ここでは「何を行ったことで、BeforeからAfterになったのか(変化が生まれたのか)」を整理します。
整理する観点としては、大きく以下2点です。
尚、「Can(能力)」を就活の軸としている場合は、課題を把握する際に発揮した自身のCanも整理しておきましょう。
尚、「Can(能力)」を就活の軸としている場合は、課題を解決する際に発揮した自身のCanも整理しておきましょう。
『課題』と『解決策』を整理している方は多くいますが、 「なぜそれを課題と思ったのか?」「なぜその解決策を実行したのか?」という点について整理出来ていない場合が多い ので、皆さんは『課題把握のための行動・思考』『解決策を発散・決定するための思考・行動』まで整理するようにしておきましょう。
ここまで整理できていないと、「なんとなく課題を特定している」「なんとなく解決策を考えている」と思われてしまいます。
尚、整理する際には、『成長の3つの仕方』を参考にしてみて下さい。
■継続して頑張れた理由
図で確認すると、以下の部分に当たります。
ここは皆さんの原動力(Will・Being・価値観)が該当するはずです。
該当しない場合は、「ガクチカの選定がそもそも間違っている」または「軸(原動力)の抽出が出来ていない」ということになります。
まだ軸の整理が出来ていないという方に関しては、以下のテーマ「自己分析」の記事を参照にしながら軸の抽出から始めましょう!
今回の記事は以上になります。
面接の中で全てを網羅的に話すことは難しい場合が多いですが、「人事の見ている観点」を踏まえたると、上記の項目を整理しておき、いつでも話せるようにしておいた方が良いと言えます。
次回の記事では、具体的な面接シーンでの「Goodケース」「Badケース」とそれぞれに対する面接官の評価を見ていきます。
ご自身の整理したガクチカと照らし合わせながら改善点を見つけ、ブラッシュアップしていきましょう。