キャリアの軸の見直し方-今の会社で働き続けるか、転職するか-

- CAREER DESIGN & PRACTICE -
最近、社会人2~5年目の方から将来のキャリアについて相談を受けることが多くあります。
今まで20代の方を中心に1,000名以上のキャリア相談をしてきた中で、特に多かったのが「仕事が特に嫌なわけではないが、今の会社でずっと働き続けるイメージが湧かない」というもの。
明確に転職したいわけではないが、今の会社に残り続けるのも何か違うと考える「キャリア迷子」の方が増えているように思います。
人生100年時代と言われる昨今、中長期的なキャリア形成については、誰もがどこかのタイミングで考えるテーマになってくるでしょう。
そんな人に必要なのが、「自己分析でキャリアの軸を見直すこと」です。
就職活動のときに、一度は自己分析をしたことがあるという人が多いと思います。
しかし、多くの人は企業に受かるための自己分析に終始してしまい、自分が本当にやりたいことを見つけられているとは言い難い状況です。
キャリアに迷う理由は大きく分けると以下の4つに分かれます。
それぞれ解説していきましょう。
やりたいことや、なりたい姿が明確であれば、そこから逆算することで中長期的なキャリア設計が可能です。
しかし「そもそも、自分が何をやりたいのかが分からなくなってきた」という方も多くいると思います。
例えるなら、旅行に行くときに行く先が決まっていないにも関わらず、とりあえず家を飛び出して車を走らせているという状況です。
まずは、自分が「誰に対して、どのような価値提供をしたいのか」「将来の自分はどう在りたいのか」を考える必要があります。
そのためには、過去の自分の意思決定の基準や感情の変化に着目する事が重要です。
やりたいことや、なりたい姿を明確にするためのキャリアの軸の見つけ方については、後半で解説します。
今やっている仕事が、10年後、20年後に続いていると断言することは難しいです。
人工知能やロボットなどによって、多くの仕事が代替されることがオックスフォード大学により発表されています。
大企業に入ったからといって安泰ではないということは、既に多くの人が耳にしていることでしょう。
コロナのような未曾有の危機が、次にいつ襲ってくるのか予測することは難しいです。
そこで大切なのが「将来に備えて汎用的なスキルを身につけること」「常に複数の選択肢を持っておくこと」です。
今の会社を続ける判断をしたとしても、将来的に複数の選択肢を持てるように準備しておくことが望ましいでしょう。
そもそも成長とはなんでしょうか?
人によって定義は異なると思いますが、ここでは「目の前のことに懸命に取り組んだ結果、実感として得られるもの」という抽象的な定義をしておきます。
成長すること自体を目的とするのではなく、その先にどのような自分になりたいのかを考えておくことが重要です。
これも先程の、どこに向かうのか決めずに家を飛び出している状況と同様です。
自分のなりたい姿に対して、近づけたという実感が得られれば、成長を感じることができるでしょう。
また、成長を実感するためには定期的な振り返りが重要となります。振り返りの仕方(キャリアの棚卸し)に関しては、また別な記事で紹介します。
「自分が行っている仕事の価値に対して、見合った給与が貰えていない」と感じるケースがあると思います。
例えば、月400万円の粗利を上げているのに、給料はインセンティブ込みで月給40万円というようなケースです。
他にも、他部署のサポートや社内の仕組みづくりなどに貢献しているにも関わらず、仕事量に見合った報酬が貰えていないと感じるケースは多くあるでしょう。
この場合に考えなければならないのは、「今出している価値(粗利)は、本当に自分だけで出せている価値なのか」という点です。
ほとんどの場合では、会社のブランドや、営業事務の方のサポート、商品力、先輩からのアドバイスなど、様々な要素が複合的に掛け合わさって価値提供に繋がっています。
改めて、その中で自分自身の価値提供の割合はどのくらいかを考えてみると良いでしょう。
ここまで、キャリアに悩む4つの理由について解説してきました。
今回の記事では、「自分のやりたいことや、なりたい姿が明確ではない」という悩みに対する解決策として、キャリアの軸の見つけ方を解説します。
まず、キャリアの軸といったときに明確にすべき要素は大きく4つあります。
いずれも、自分自身を突き動かす原動力として仕事へのモチベーションを上げる要素となります。
それぞれ具体例とともに解説していきましょう。
・誰に対して何をやりたいのか(Will)
・自分はどう在りたいのか(Being)
・大切にしたい価値観
・得意なこと(Can)
仕事内容と大きく関連する部分です。
抽象度は人によって異なりますが、他者や社会に対して、どのような価値提供をしたいのかを明確にする必要があります。
例えば、「困っている人が勇気を出して一歩前に進むための支援をしたい」「すべての人が健康に過ごせる時間を長くしたい」「未来の世代が安心して暮らせる持続可能な社会を実現したい」などが挙げられます。
理想の自分は、どのような存在で在りたいのか、周りからどう見られたいのかを明確にする必要があります。
例えば、「常に高い目標を掲げて挑戦し続ける自分で在りたい」「希少価値の高い存在でありたい」「どんな時でも自分に正直でいたい」などが挙げられます。
幼少期の家庭環境や、小中学校までのイベントを元に形成されていることが多い部分です。
自分自身が大切にしている考え方、好きなもの、頑張れる理由を言語化する必要があります。
例えば、「熱量の高い仲間と一緒に働きたい」「知的好奇心を持ち、謙虚に学び続ける姿勢が大切」「自分を受け入れてくれる環境が大事」などが挙げられます。
自分自身の得意なこと・苦手なことを明確にすることで、「活躍できる可能性が高い業界・企業・職種」「活躍できる可能性が低い業界・企業・職種」の判別を行うことが出来るようになります。
例えば、具体と抽象を行き来する能力が高い人は、企画や商品開発など、上流の設計から具体的なサービス構想まで考えるような思考業務が向いているといえるでしょう。
一方で、1つのことに集中してしまい、周りのことが見えなくなってしまう傾向にある人が、クライアントと社内のエンジニアとの間に入り、両者の調整を行うような仕事を行うと、なかなか成果を出すことができず、仕事が辛くなってしまう可能性があります。
あなたは、幼少期から現在に至るまでに、多くの環境選択や意思決定、行動をしてきていると思います。
その時に、①どのような基準で判断を行ってきたのか、②実際に行動してみてどう感じたのか、③その経験を通じて何が得られたのか、を深掘りして言語化することで、今の自分のやりたいこと(Will)や、なりたい姿(Being)に繋がる要素を洗い出すことができます。
自分の過去のエピソードと感情の変化を洗い出すことができたら、「それってつまりどういうことなのか?」「何故その意思決定・判断を行ったのか?」「その経験を通じて身についた価値観は何か?」を明確にすることで、Will・Being・価値観を言語化していきます。
得意なこと(Can)に関しては、自分自身が何らかの成果を残せたときに、どのような強みを発揮することで、その成果が生み出せたのかを言語化していきます。
Will・Being・価値観・Canを抽象化して言語化できたら、最後にそれぞれの重要度を決めていきます。
このステップでは、最初から絶対的な答えを導くというよりも、人と話したり、企業の選考を受けるなかで徐々に明確にしていくと良いでしょう。
新卒のときには、誰かに価値提供をした経験がないためにWillが明確になっていないケースが多いですが、社会人として働き始めると、自分がどのような仕事でやりがいを感じられるのかが新卒の時と比べて見えやすくなっていると思います。
この記事では、漠然と今の会社に居続けるイメージは湧かないけど、積極的に転職したいわけでもないという方向けに、キャリアの軸の見つけ方を解説してきました。
まずは、過去の経験を元にWill・Being・価値観・Canを明確にして、それを軸にキャリアを選択することが重要です。たとえ今の会社に留まる選択をしたとしても、将来的に選択肢が広がるように仕事に取り組みましょう。
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